『個人力』 How
to Grow a Backbone
スーザン・マーシャル 著 出野 誠 + 菅 由美子 訳
当社が翻訳した「個人力」がディスカヴァー・トゥエンティ・ワンより、全国書店にて販売されています。是非ご覧ください。
訳者あとがき より
本書『個人力』のメッセージはビジネスマンに有益である。単なる精神論ではなく、実用的な方法論だからだ。本書が説く個人力とは、ビジネスマンが身に付けるべき実力と影響力を意味している。この個人力を発揮するには、日頃の業務経験から学び、自信をつけて、リスクを恐れずチャレンジすることだと、本書は主張する。
現代は自己責任の時代と言われる。ビジネスマンにとっても確かにその通りで、会社に人生を任せられる時代でもないし、会社に託した生活が充実する保証もない。しかし、ことキャリア設計に関しては多くの誤解があるようだ。「自分のキャリアに責任を持て」と言われると、すぐに資格習得やキャリアアップの転職をイメージする人が多いのだ。
私は職業柄、仕事に不満を持つビジネスマンから相談を受ける機会が多い。「現在の仕事はやりたい仕事ではない」とか「転職してもっと良い職場に変わりたい」とか、彼らの不満は尽きない。しかし、市場価値の高い資格を身に付けて転職をしても、その不満が解消されることはあまりない。現実逃避の手段として資格や転職が使われている可能性が高い。
最初から充実したキャリアに巡り合う可能性は低いものだ。そもそも20歳前後で将来への明確な目標やキャリアイメージを持っている人はそんなに多くない。だから、経験を通じて目標を固めていくのが現実的である。失敗や試行錯誤の結果としてキャリアイメージが決まっていくのが自然である。
この試行錯誤のプロセスを経た後で、資格取得に励み転職をするのは一向に構わないし、むしろ推奨されるものかも知れない。この試行錯誤のプロセスに5年かかる場合もあるし3ヶ月で済む場合もある。必要な時間は個人によって目標によって異なるだろうが、目標やキャリアイメージが固まる前に、刹那的に資格取得や転職を図るのは成功しないことが多い。いつまでたっても不満が解消しないからだ。
自己のキャリアに責任を持つことは、必ずしも他人との競争に勝つことでもなく、対外的な評価の獲得を目指すこともない。そうではなくて、仕事を通じて自分らしい納得できる人生を送ることだと考えれば、より自由に発想できる。必ずしも自分の市場価値を上げることに四苦八苦しなくてもよいし、組織の中で上位ポジションをしゃにむに目指す必要もない。むしろ、自分自身の内面的な欲求や価値基準を深く知ることの方が重要になる。自分自身を知るには、机にかじりついて沈思黙考するのではなく、経験を通じて問題意識を育み、行動によって問題意識を検証する方が効果的である。
下図には経験を通じて目標やキャリアイメージを固めるためのプロセスが示されている。スタートは実務経験を通して問題意識を育くむことだ(Step
1)。問題意識が醸成されると、やがてやりたいと思うことが発見できるようになる(Step 2)。心からやりたいと思う目標が見つかれば、リスクを冒してチャレンジしようという気持ちにもなる(Step
3)。
もちろん、チャレンジしても違和感を持つこともあり、「最初のイメージと違う」と思うこともある。しかし、その違和感はチャレンジしたから持てたものであり、チャレンジしなければ違うのかどうかさえも分からなかった筈である。永遠に「青い鳥」を求めて不満を持ちつづけていたかも知れない。
後に違和感を持ち、最初の目標を修正することになったとしても(Step
4)、やはりチャレンジした方がよい。チャレンジと目標修正を繰り返していれば(Step2→Step3→Step4→Step2→…)、次第に真の目標に近づいてくる。このチャレンジと目標修正のサイクルに踏み出さない限りは、いつまでも不完全燃焼で欲求不満をかかえたままになる。
本書『個人力』には、図の最初のプロセス(Step1)にあたる「経験を通じて問題意識を育成し維持する方法」が満載されている。人間関係を分析したり、会議の進め方を考えたり、質問の技術を身につけたりという方法だ。それは普段の会社生活を学習の場に変える方法でもある。本書のアドバイスに従うことで、経験から学び、自信をつけて、リスクを恐れずチャレンジできるようになる。まさにチャレンジと目標修正のサイクルへと踏み出せるようになる。
G3 CONSULTING, INC.
代表取締役社長 出野 誠
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